人生で初めての愛妻弁当

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先日の夜勤の休憩時、先輩の愛妻弁当を食べました。というのも数人でマックパーティーをしたらしく浮いてしまったお弁当を、夜ご飯が無かった私が頂くという流れになりました。お店以外の人様が作ったお弁当なんて、いつ以来でしょうか。というか、母親以外のお弁当を食べた事ないかもしれないです。

 

ちなみに私はその奥様を知っています。違う部署に居る大先輩で、数回見たことがある程度です。お弁当を頂いて言うのも恐縮ですが、同じ部署じゃなくて良かったと思う存在です。

挨拶しても返さない、冷酷な目で睨んでくる、旦那が職場内にいるのに如何せん態度が悪いあの女性が作ったお弁当を食べる日が来るなんて。旦那さんに作ったつもりが、無関係の後輩の私が頂くなんて。なんだか申し訳ないなぁと思いつつも、そもそも先輩が言ってくれたんだし、まぁいいっかと蓋を開けてみると、おかずが3種類もあって、詰め方が綺麗だし(おかずカップが赤と黄色の交互で可愛い)、洗わずに捨てるだけの容器で、先輩への気遣いが素晴らしいお弁当です。私なんて、夫さんへのお弁当は一品料理だし、基本茶色のおかずですし。職場では奥様に対してネガティブな印象しかないけど、家だときっと違うんですね。先輩も、奥様の話ばっかしますし。へぇ、これが愛なの?

 

わたしは女だから、どちらかというと愛妻弁当を作る側の人間です。だから、今回のような機会がなければ、愛妻弁当を食べること自体無いんです。じゃあ、夫が作ったお弁当「愛夫弁当」という言葉はあるのかと思いグーグルに聞いてみても、何もヒットしなかったんですよね。そもそも、愛夫という単語は、言葉として存在していない様です。

確かに愛妻家とは言っても、愛夫家とは言わないですよね。妻が夫を愛するのは当たり前だから?日本では、妻もしくは女がご飯の支度をするのが当たり前だから?もちろん家庭にもよりますが、よく職場でも「嫁が作ってくれない」というワードを耳にしますし、実際うちでも夫さんが私のお弁当を作るなんて数ヶ月に1回くらい。作るだけマシかもしれないですが。ってかそもそも、作っただけで奇跡という流れも気に食わない!(文句続出)

社会においても、家庭内においても、男女平等はまだまだ遠い未来なのか。そんな自分のいる業界も、未だに男尊女卑の文化が根強いです。なんか無性に腹が立ってきたな...と思いながら、唐揚げを一口にしたら美味しすぎて、今はそんな事どうでも良くなりました。人が作ったご飯は、美味しいです。母親がよく口にしていた「人が作ったご飯が食べたい」という気持ち、よく分かります。忙しすぎて味わう暇は無かったのに、ただただ美味しすぎて、ひとりでニヤけました。

 

 

もし、奥様に会ったらどんな顔をすればいいんだろうか。違う部署だけど、全く会わない訳ではないから、心の準備が必要です。(そもそも先輩は、奥様にこの事を言っているのか気になる)申し訳なさそうにしながら笑顔で、「お弁当おいしかったです!」って言えばいいのか。それとも心の中で、「あんたの旦那の弁当を代わりに食べてごめんなサイダー」とも唱えとけばいいのでしょうか。どっちにしろ、挨拶返してくれないし、冷たい目で刺されるだけですね。よし、会わないことを祈ろう。